[監修]百枝 幹雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター愛育病院 院長)

月経トラブル、月経前症候群

月経のしくみと心身の不調

「なんとなく不調」「イライラしやすい」など、月経周期で気になっている症状はありませんか?女性ホルモンによって起こる月経について基礎知識を身に付け、快適に過ごすためのヒントを見つけましょう。

一般的に周期は25~38日が正常範囲、
期間は3~7日が目安です。

月経周期による女性ホルモンの変動と心身の変化

月経による心身の不調は個人差はあるものの、症状は多岐に及び、仕事にも影響する場合があることを知っておこう。

主な月経トラブル

◦月経困難症(月経痛が強い)
月経に伴って起こる病的症状のこと。強い下腹部痛や腰痛の他、頭痛、疲労感、食欲不振などが多くみられます。
◦月経前の不調(PMS・PMDD)
イライラ、抑うつ、食欲不振など月経前に現れる精神的、身体的症状を月経前症候群(PMS)といいます。なお、特に精神的な症状が強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)が疑われます。
月経トラブルの原因となる疾患 子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫・子宮腺筋症など
◦過少月経・過短月経
1周期あたりの総出血量が非常に少なく、20mL以下の場合を「過少月経」といいます。また、2日以内で出血が終わってしまう場合を「過短月経」といいます。
◦過多月経・過長月経
「過多月経」とは1周期あたりの総出血量が多く、140mL以上のことをいいます。また、8日以上出血が続く場合を「過長月経」といいます。
例えば、「通常のナプキンの使い方では対応できない」「レバーのような血の塊が出る」などの場合は、月経量が多いといえます。

自分の心身のリズムや不調を把握する

  • 月経周期における不調症状を1周期単位で自己観察し、記録してみる
  • 不調が出る時期は、できるだけ無理をしない(仕事の調整、家事の軽減など)

痛みをやわらげる対処法を試す

  • 意識的に気分転換、リラックスを
    心がける
  • 適度な運動をする
  • 下腹部・腰周りを
    温める
  • 体を締め付けない
    服装にする

自分なりの対処法を見つけることも大事だけど、健診やがん検診も忘れないで!ささいな不調の中に病気が潜んでいる場合もあるから、気になる症状があれば、ためらわずに婦人科の受診を。

「基礎体温」で、何が分かるの?

基礎体温で自分の心と体のリズムが分かり、
日々の体調管理に役立ちます。

「基礎体温」を測り、自分の体について知ろう

基礎体温とは

生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温のことをいいます。基礎体温は、目覚めてすぐに、婦人体温計を使って測ります。

基礎体温で分かること

基礎体温を測ると、自分の体のリズムが分かります。例えば、女性の体は排卵後に少しだけ体温が上がります。基礎体温を継続して測定していると、この低温期から高温期への移行があることで、排卵が起きたことが分かります。また、排卵後は高温期が約14日間続き、その後、体温が下がり月経になります。このように、排卵・月経の1周期のパターンを把握できるとともに、よく起こる不調が月経周期のどの辺りで起こるのか、体調変化の予測にも役立ちます。

基礎体温を測ってみよう

あらかじめ枕元に婦人体温計を準備しておき、目覚めたら起き上がらずに測定し、記録を付けましょう。基礎体温は、毎日同じ時間帯に測るのが理想的です。

①まず、婦人体温計の感温部を舌の裏側の付け根に当てます。

②婦人体温計を舌で押さえ、口を閉じたままで測ります。検温中は口で息をしないように注意しましょう。

③検温後は、基礎体温表などに記録します。

婦人科って行ったことないし、
気軽に行きにくい……

かかりつけ婦人科を味方につけて、
どのライフステージもいきいきと快適に!

かかりつけ婦人科をもとう

女性は、女性ホルモンの影響を受けながら年齢を重ねていくため、例えば「疲れやすい」「怒りっぽくなった……」など、自分では病気かどうか判断がつかないような、小さな不調を抱えることも少なくありません。そこで、おすすめしたいのが精神的・身体的に「何となくいつもと様子が違う」といった小さな悩みでも、気軽に相談できる「かかりつけ婦人科」をもつこと。
とはいえ、一言に「かかりつけ婦人科」と言っても、人それぞれ求めることや重要視したいポイントは異なるはず。あなたにぴったりのかかりつけ婦人科を見つけましょう。

Aさん

私が重要視したいのは……

例えば、Aさんの場合

  • 勤務先から近い
  • 相談しやすい
  • リラックスできる院内
  • 予約が取りやすい
  • 産科がない
Bさん

私が重要視したいのは……

例えば、Bさんの場合

  • 自宅から近い
  • 適切な診療科を紹介してくれる。別の診療科も、同じ建物内にある
  • 医師を指名できる
  • 産科がある

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