[監修]小川 真里子(東京歯科大学市川総合病院 産婦人科 准教授)

女性にとって身近な病気「膀胱炎」

膀胱炎とは

膀胱炎は、膀胱に大腸菌などの細菌が侵入することで、頻尿、残尿感、膀胱の痛みなどの症状を引き起こす病気です。いくつかタイプがありますが、特に女性に多いのは「急性膀胱炎」。女性の場合、尿道が短く、尿道の入り口が肛門に近いため細菌が侵入しやすいことが大きな要因です。また、一度発症すると、繰り返しやすいのも特徴の一つです。

主な症状

起こりやすいタイミング

20〜40歳代
生殖機能が高まるこの時期は、性行為の機会も多く、尿道の入り口に細菌が付きやすいので、膀胱炎の引き金に。
仕事でも無理を重ねやすく、忙しくてトイレに行く回数が減ることも原因となる。
妊娠
妊娠中は、女性ホルモンの変化や大きくなった子宮が膀胱を圧迫して尿の流れが悪くなることから、膀胱炎になりやすくなる。
更年期以降
女性ホルモンの減少に伴い、膣や外陰部、尿道の粘膜に萎縮や乾燥が起こり、細菌が侵入しやすくなる。
疲れや冷え、ストレス、無理なダイエットなどによって、免疫力が低下しているとき
膀胱炎の主な原因となる大腸菌は、取り立てて特別な菌というわけではなく、人の体には当たり前に存在する菌です。普段は害のない菌ですが、免疫力が低下していると、膀胱炎を引き起こすことに。

診断と治療

主に尿検査で尿の成分や細菌を調べて診断します。また、治療は抗生剤の内服が一般的です。抗生剤を飲み始めておよそ3~5日間前後で治癒します。

POINT

薬を飲み始めてすぐに症状がなくなったとしても、完全に治ったわけではないので、処方された薬はすべて飲み切りましょう。

\こんな誤解していませんか?/

内診が不安で恥ずかしい

基本的には問診と尿検査をします。必要な場合を除いては、視診や触診を行うことはほぼありません。

水を飲めば自力で治せる?

自然治癒が望める場合もありますが、早めに治癒させ再発を防ぐには、医療機関を受診することが最善です。

専門的な治療は泌尿器科で行いますが、膀胱炎の治療は内科や婦人科でも可能なこともあります。

膀胱炎や尿もれなど、デリケートゾーンのトラブルって、口に出しにくい!

近年では、「フェムテック」という言葉もよく聞かれるようになり、女性特有の症状や悩みに対し、声を上げやすい世の中になりつつあります。

つらさを我慢しない! より女性が生きやすい社会へ

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フェムテックの具体例

月経

月経用品、吸水ショーツ、月経カップ、月経管理アプリ・サービスなど

妊娠・出産

妊娠期ケア、つわり緩和、産褥(さんじょく)期ケア、授乳期ケアなど

妊活・妊よう性

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更年期

更年期ケア用品、更年期ケアアプリ・サービスなど

その他

デリケートゾーンケア用品、オンラインピル処方など

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