[監修]小川 真里子(福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授)

女性が抱えやすい「メンタル不調」

女性ホルモンとメンタルヘルスの関係

一般的に、女性は男性よりメンタルヘルスの不調を抱えやすいといわれており、その理由には、女性ホルモンの影響の他、ライフイベントによる環境・役割の変化がきっかけになることもあるようです。

女性がメンタルヘルスの不調を抱えやすい時期について知識を深め、メンタルヘルスケアを適切に実践していくことが大切です。

特に女性が気をつけたいたばこの悪影響

出産直後に、涙もろさ、抑うつなどの症状が起こるマタニティーブルーズは、ホルモンバランスの変化、出産・育児の疲れなどから起こるとされています。長引く場合は「産後うつ」に移行することも。

子どもが自立し、巣立ってしまうことによって、寂しさや喪失感にさいなまれる状態のこと。

身近な人を介護している人は、介護疲れやストレスによる「介護うつ」にも注意が必要。

月経周期のホルモン変動によって、メンタル面での不調を感じる人は少なくありません。特に月経前の3~10日前後には、イライラ、抑うつ、お腹の張りなどの不調が現れやすく、これらの心身の症状を月経前症候群(PMS)といいます。特に精神的な症状が強い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)が疑われます。

女性ホルモンの急激な変化に伴い、イライラ、情緒不安定、意欲の低下など、さまざまな症状が起こりやすくなります。これらの不調は体質や生活環境が複雑に絡み合って起こるため、症状の現れ方もつらさも人それぞれ異なります。

心の不調を遠ざける基本は、イライラやストレスを溜め込む前に小まめにケアすること!
自分に合ったストレス解消法をいくつか見つけ、日常的に実践しましょう。

素直な気持ちを言語化してみる

その日に感じた、イライラ、モヤモヤなどのネガティブな感情を誰かに話したり、日記に書いたりして言語化してみましょう。ネガティブな感情の正体がはっきりするだけでも、心がスッキリ、ストレスを溜め込みにくくなります。

外を歩いて気分転換

運動は脳の活性化にも役立ち、気分転換に。毎日、少しの時間でも外を歩く習慣を取り入れましょう。

意識的に休息する

  • 小まめに深呼吸をしてリラックス
  • 仕事の合間に簡単なストレッチ
  • 疲れを感じた日は早く休む

メンタルヘルスの不調は、医療機関の他、保健所や精神保健福祉センターなどでも相談できます。PMS、更年期などの女性特有の症状によるメンタルヘルスが気になる場合には、婦人科に相談してみるのも良いでしょう。

メンタルヘルスの不調やイライラが、
PMSによるものなのか分からない……

まずは、自分に起きている症状を
振り返ることから始めましょう。

月経前に現れる精神的・身体的な症状をPMSといいますが、一言でPMSといっても、症状は人によってさまざま。その種類は200種類ともいわれており、「自分に起きている症状が、PMSなのかどうか分からない」という人もいます。中でも「急に怒りを抑えられなくなる」「ヒステリックになってしまう」などの精神的症状は、本当はPMSが原因であるにもかかわらず、そのことを知らず、自分の性格を責めたり、人間関係がうまくいかなくなって傷ついたりする人が少なくありません。つらい症状に対処するための第一歩として、まずは自分がPMSであるということに気が付くことが大切です。

自分に起きている症状がPMSかどうかを知るには、下記を一つの参考にしてみましょう。

PMSチェック

下のような症状が過去3カ月連続で、月経前の5日間に一つ以上起こり、さらに3つの◇に当てはまるなら、PMSを疑ってみましょう。

身体的な症状

□乳房の痛み
□頭痛
□おなかの張り
□腰痛
□手足のむくみ

精神的な症状

□抑うつ気分
□混乱
□イライラ
□怒りっぽくなる
□不安
□ひきこもり

  • ◇生理開始後、4日以内に症状が消え、13日目まで再発しない
  • ◇薬やアルコールによる症状でない
  • ◇社会的・経済的に明確な障害が認められる

(ACOG A Resource manual 4th Edition 2014)

なお、該当した項目の数にかかわらず、その症状によって日常生活に困りごとが起こっている場合には、早めに婦人科を受診しましょう。

日記をつける

日記をつけてみることでも、自分に起きている症状がPMSかどうかを知るために役立ちます。日記やスケジュール帳、スマートフォンのカレンダー機能などを使って、困っている症状が、いつ起きていつ終わるのかを記録してみましょう。2カ月以上継続して記録していくと、月経と心身に起こる不調との関連が把握できるようになります。

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