健康保険の保険料
健康保険の保険料は被保険者の報酬(給料)や賞与(ボーナスなど)の額に応じて決められます。
保険料は、すべての被保険者を対象とした健康保険料と40歳~64歳の人が対象の介護保険料からなります。
標準報酬月額
保険料の計算の基となる給料には、基本給のほか、残業手当や通勤手当なども含まれています。しかし、私たちの給料は残業手当などにより毎月増減するため、毎月の保険料を実際の報酬額で計算すると事務的に大変煩雑なことになります。
そこで、「標準報酬月額」という仮の報酬を定め、各人の実際の報酬をそれに当てはめて簡単に保険料の計算ができるようにしています。「標準報酬月額」は最低5万8,000円から最高139万円まで、50等級に分けられています。
(傷病手当金や出産手当金を計算するときもこの標準報酬月額が基礎となります)
標準報酬の決定時期
標準報酬は入社した時に決まりますが、毎年1回見直しが行われます。また給料が大幅に変わった場合などにも見直しがあります。
入社した時(資格取得時決定)
初任給を基に決められます。
毎年9月1日(定時決定)
その年の4月、5月、6月の3か月間の報酬を基礎にして決められます。決定した「標準報酬月額」は原則として、その年の9月から翌年8月まで使われます。
報酬月額が大幅に変わったとき(随時改定)
昇給などで、毎月の報酬に大幅な変動(継続した3か月間に受けた報酬の平均額が、現在の標準報酬月額に比べて2等級以上の差)があったときは、変動があった月の4か月目より標準報酬月額が改定されます。
その他
産前産後休業が終了したとき、育児休業が終了したときに被保険者からの申し出により改定されます。
標準報酬月額の対象となる報酬
基本給、諸手当(残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役付手当、勤務地手当、能率手当、精勤手当など)
標準賞与額
賞与などからの保険料は、「標準賞与額」を基に計算されます。「標準賞与額」とは、1回の賞与などの支給額から1,000円未満を切り捨てたものです。ただし、年間を通じて573万円の上限があり、それ以上の金額については保険料がかかりません。
標準賞与額の対象となる報酬
賞与(役員賞与も含む)、ボーナス、期末手当、年末手当、夏(冬)手当、 越年手当など
保険料の決め方
毎月の保険料は「標準報酬月額」に、賞与などの保険料は「標準賞与額」にそれぞれの1000分のいくつという割合で決められます。この割合を「保険料率」といいます。こうして決められた保険料は、被保険者と事業主が共同して負担します。
健保組合の一般保険料率は、1000分の30から130までの間で、その組合の財政状況に応じて、自主的に組合会で決定することが認められています。
なお、当健康保険組合の調整保険料を含めた健康保険料率は1000分の91(令和4年度)となっています。
保険料の納め方
毎月の保険料は翌月の給料から差し引かれます。これは法律で事業主に保険料の納付が義務付けられており、給料から差し引くことが許されているからです。
保険料は月単位で計算され、加入が月の途中からであっても1か月分の保険料が翌月の給料から徴収されます。その代わり月の途中で退職した場合は、その月の保険料は徴収されません。ただし、月の末日に退職した場合と入社した月と同じ月に退職した場合は、その月分の保険料は徴収されます。
賞与などについては、支払い時に保険料が徴収されます。
介護保険料
介護保険の実施に伴い、40歳~64歳の被保険者は介護保険の第2号被保険者として介護保険料を納めることになっています(詳しくは「介護が必要になったとき」をご覧ください)。なお、当健保では、40歳以上65歳未満の被扶養者のいる40歳未満もしくは65歳以上の被保険者の方にも介護保険料を負担いただいております。
産前産後休業および育児休業中の保険料
育児・介護休業法に基づいて産前産後休業および育児休業をとった場合、休業期間中※は申請により被保険者本人負担分の保険料の支払いが免除されます。
- 短期の育児休業に対応するため、休業開始月とその終了する日の翌日が属する月とが同じで、かつ、育児休業の日数が14日以上である場合でも、当該月の保険料が免除されます。
なお、賞与における保険料の免除は、休業期間が1か月を超える場合に免除の対象になります。
調整保険料
法律では、高額の医療費が発生したり、財政窮迫の状態に陥った健保組合に対し、健保組合間での財政調整(再保険)を行うことが決められており、この財源として各健保組合は「調整保険料」を徴収し、これを健保連(健康保険組合連合会)に拠出することになっています。
後期高齢者支援金
75歳(一定の障害があると申請し、認定を受けた人は65歳)以上の人を対象とする後期高齢者医療制度の財源は、後期高齢者医療の被保険者が納付する保険料が約1割、公費から約5割、残りの約4割を国民健康保険や、健康保険組合などの被用者保険が後期高齢者支援金として拠出することになりました。被用者保険は、総報酬に応じた按分比(総報酬割)で負担しています。
前期高齢者納付金
65歳~74歳の前期高齢者の多くは国民健康保険に加入しています。このため、前期高齢者の患者負担を除く給付費について、国民健康保険と被用者保険との間の財政負担が不均衡になっています。この不均衡を是正するための財政調整として前期高齢者納付金を拠出することから、健保組合の負担が急増しています。
介護納付金
介護保険の費用として、介護保険を運営する市町村に対して交付される介護給付費交付金に充てるために、介護納付金を社会保険診療報酬支払基金に納付することになっています。